「とりあえず早く行くよ。」
と、私がそう言って仁くんを見たとき………


「………仁?」


少し遠くにいる誰かが、驚いた顔でこちらを見ていた。


とても綺麗な女の人だった。


すると仁くんの足が自然と止まる。


「やっぱり仁だ!
ちょっと待ってて。」


女の人は男と腕を組んでいたけど、離してこちらへと来た。


「久しぶりだね仁。
こんなかっこよくなっちゃってるし、しかもこんな綺麗な子捕まえて。


さすが私の息子ね。」


……………私の息子。


その言葉でこの人が仁くんのお母さんだと理解した。