「なんで?」
「なんでって、人がいない方が好きなことできるでしょ?」


不思議そうに私を見る仁くん。


だけど不思議なのは仁くんの方だよね。


だって、あえて黙っとくけどこの後夜は家で好きなことできるんだよ?


なんでそれぐらい我慢できないのか不思議。


「それにこの映画、とてもかっこいい俳優がでるんだってね?」


…………まあでも仁くんの方が圧倒的にイケメンなんだけど。


それも言わないけどね。


「でもストーリーが面白そうだから観たいなって思ったんだもん。」


「へぇ、それなら僕は全力で美桜の邪魔をしようか。」


「真面目に観たいんだから何もしないでよね!」


そう言うと、映画が始まる直前の映像が流れ始める。


最初こそはからかってきたけど、それ以外は特に何もなく仁くんも静かに映画を観ていた。