映画館に着き、館内に入るとそこも人が多かった。


だけど仁くんが前もって予約してくれていたため、私たちすぐ入ることができたんだけど………


「おかしい………。」
「美桜?どうしたの?」


仁くんはいつも通りだったけどおかしいに決まってる!


今回見る映画は人気沸騰中の恋愛映画だ。


それなのに、人気がある一番後ろの席に誰も座らないのだ。


「仁くん、この席仕組んでない?」
「僕を疑うのかい?大丈夫、ずるはしてないからね。」


ずるはしてない?
それってどういう………


「本当は貸切たかったんだけど、問い合わせたらこの時期は混雑するからって断られた。


だからせめて僕たちが座る席だけでもと思って一列全部買っただけだよ?」


………いやいや、それのどこがずるしてないのよ。