その時。
突然誰かに肩を叩かれる。
びくっと体を震わせながらも振り向くと…………
「どうして泣いてるの?可哀想に。」
ニタァと悪魔のように笑う、見覚えのある男が屈みながら私を見ていた。
反射的に立ち上がって逃げようとしたら、腕を掴まれ、壁へと押し付けられる。
「………いた……」
「痛かった?ごめんね。でも美桜ちゃんは今、心の方が痛いんじゃない?」
“美桜ちゃん”
そう私を呼ぶ男の名前は…………妹の莉緒のモデル事務所で2番目に偉いと言っていた佐久田という人物だった。
確か妹が辞めさせたはず……。
「もしかして、今まで私をつけてたのって……」
「そうだよ、俺だよ。
あいつが……莉緒ちゃんのせいで俺は仕事を辞めさせられたんだ………!!
許せない、その恨みを晴らすために美桜ちゃんを今から酷い目にあわせようと思って。」
私を見て満足そうに笑う佐久田。



