「仁くんの方がすごいよ。
多少はおかしいけど、普通に優しい人だから。」


「そんなことないよ。
やっぱり俺は父さんの気持ちを裏切った母さんが許せてないからね。」


「それは当然でしょ……。
私なんか土下座されても絶対許してやんないわよ。」


「ははっ……それはきついなぁ。
美桜を怒らせたらやばそうだ。」


冗談っぽく笑う仁くんはもういつも通りだった。


だけど何故か仁くんがたまらなく愛おしくて………


気づいたら自分から仁くんの腰に手を回していた。


「………美桜?」
「今日は誕生日なんだし、これくらいはしてあげないとね。」


素直になれずこんな言い方になる私。