「物心ついた時は本当に毎日が幸せだったんだ。
明るく綺麗で自慢の母さんがいて、かっこよくて仕事ができる父さんがいて、自慢の姉ちゃんがいて。
父さんと母さんは本当に仲が良くて、特に父さんが母さんを大事にしてた。
けど………母さんは父さんの気持ちを裏切った。」
そこでなんとなく予想はついた。
「………それは僕の誕生日の日だったな。
家に帰ると知らない男と母さんがいて、母さんがその男にべったりしてた。
いつもと違う、僕や父さんたちに見せない顔をその男には見せていつもより高く甘い声をしていたのが本当に気持ち悪かった。
母さんは僕がいるのに気づくと男と一緒にこっちにきて
『ちょうどよかった。お父さんとはもう離婚することに決めたの。』
って母さんに言われたんだ。」
そこで私は小さく驚いた。
だって、普通子供の誕生日の日にそんなこと……言う?



