仁くんを押して離れてから、顔を見合わせる。
そして満面の笑みで
「仁くん!お誕生日おめでとう。」
と言った。
だけど仁くんはしばらく反応がなく固まっていて………
「仁くん?」
「………あ、いやありがとう。
そっか、誕生日ってこんな感じなのか……」
心底驚いているような表情をする仁くんに疑問を覚える。
「じゃあどんな感じなの?」
思わず聞いてしまう私。
だけど予想とは違った答えが返ってきた。
「誕生日って一つ歳をとるだけの日だと思ってたから……祝われるものなんだね。」
「………え?」
そりゃ誕生日だから祝われて当然でしょ………
そう言おうとした時にふと思い出した、仁くんの家庭事情。
まあどう思うかは人それぞれか。
それにもし祝われたことないんだったら好都合。
私が最高に喜ばせてやる!