「もっと余裕がなくなるくらい美桜を壊してやりたい。」


私と額を合わせる仁くん。


あまりに近くて、心臓の音がうるさいくて聞こえるんじゃないかって思うくらい。


本当に私は犬で、仁くんはもっと大きな犬?
いや、狼か。


私は仁くんには何一つ勝てない。


「美桜。」
低く甘い声が私を誘う。


「………っ。」


ゆっくりと仁くんが近づいてきて、口づけされる。


「愛してるよ。」


…………狼に逆らえない犬は、結局最後まで歯がたたなかった………。