「あの、お父さんは仕事が忙しくて帰ってこれないんですか?」 そう私が聞くと少し前を歩く仁くんの姉は振り返った。 その時の彼女の表情は複雑だったと思う。 「…………女よ。毎晩違う女と遊んでる。 結構有名な会社の社長だから選べる女も沢山いるのよね。」 そして切なげに笑う彼女は仁くんとどこか重なった。 「………そっか。最近仁が明るいのはあなたのおかげなのね。ありがとう。」 そう言ってある部屋に通してくれた。 入ってすぐ、ベッドがあることに気づきそこで仁くんが眠っていた。