信洋さんに手を引かれながら考えていると、足を止めたのは私が使っている部屋よりずっと手前の部屋だった。

…ここって、確か開かずの間?

って、私が呼んでるだけだけど…。

なんのお部屋だろう?

ためらいなく襖を開けた信洋さんが入った部屋には電子機器があちこちにあった。

なに、ここ…?

私の手を離した信洋さんはどっこいしょなんて言いながら1台のパソコンの前に座った。

「はぁーあ。もう無理ゲーなんだよなぁ」

「…信洋さん?」

「あ、ここちゃん、部屋出ないでねー?あ、何ならこのパスワード一緒に考えよ?そこのパソコン使っていいよ」

指差された先のパソコンの画面は青い背景にたった一行の入力スペースがあった。


『琴葉!!』


誰かの声が響く。

ノイズのかかった画面が頭にちらつく。

これ、は…?