1人用のベッドがきしむ音がする。

「…ここにいる。だから、早く寝ろ」

分かってる。

ご主人様は、決して好きになっちゃダメ。

…でも、“宮内 琴葉”ではなく、“葉月 琴音”なら、季龍さんを、好きになってもいいのかな…?

「琴音」

頭を撫でられて心地いい波に瞼が落ちていく。

あったかい。

守ってくれる手。体温は、安心する。

ここにいていいんだって思えるから…。

「……………」

季龍さんの声が聞こえた気がしたけど、それを聞き取れるだけの意識はなくて、包み込んでくれるぬくもりの中で目を閉じた。