「ッ…はぁはぁ」

息が苦しい。喉が焼ける…。

喉に手を当て、呼吸を繰り返していると電子音が耳に入ってくる。その正体は枕元においたスマホのアラームだった。

アラームを止め、息を吐く。

…夢、か…。

最悪の夢見に冷笑が浮かぶ。

もう何度目だ。この夢を見るのは…。琴音を守れなかった俺を責めるように何度も、何度も繰り返す夢。

忘れていた痛みを思い出す。喉が焼ける痛み、急激に温度を失っていく体。そして、死にかけた琴音の顔…。

寒い。汗にまみれたスエットは体を冷やしていく。震えていた右手を抑え、ベッドを出ようと足を布団から出す。

立ち上がる直前で動きを止め、振り返る。

あの日から、1度も目を覚まさない。ずっと眠り続けている琴音。

そっと髪を撫でる。

「琴音、朝だぞ」

「…」

返ってこない返事。これを繰り返す日々。

あの日から今日で丁度半年。琴葉が眠り続けて半年が経とうとしていた…。