「それと、そこにいるネズミ2匹もついでに信洋に渡しとけ」

「え?」

季龍の言葉に、奏太は弾かれたように視線を向ける。

そこには、影から様子を見ていたらしい似たような顔の男女がいた。

こちらが気づいたことに気がついたらしい2人は、姿を消してしまう。

咄嗟に後を追う奏多と奏太。すぐに捕まえられるだろうと、季龍は興味を失ったように歩き出す。

暁が倒れた成夜の見張りをかねてその場に残る。琴葉のことが気掛りではあったが、仕事を差し置いて動くわけにもいかなかった。

ほどなくして、逃げた2人を連れて奏多と奏太が戻ってくる。捕らえていたのは見覚えのある顔だったことに気づく。

「キミたち若のクラステイトだよね」

「…」

「いや、キミたちたちは“琴音ちゃん”の元クラステイト。そう名乗ったのかな」

奏多の言葉で暁も思い出した。会ったことはないが、写真では見たことがある。

琴音が学校に通っていたとき、懇意にしていたのがこの2人。結城麻夏と結城麻琴だ。