一方、琴葉を連れた成夜は出鱈目に路地を突き進んでいく。

背後からの追っ手は3人。それを撒いて何とか逃げなければ。

そう決意した瞬間、琴葉の手を引く腕が伸びる。琴葉の足が失速し始めていた。

「ッ琴葉!走れ!!」

「ッ…」

返事はない。だが、ここで足を緩めるわけにはいかなかった。

琴葉を引く腕を何とか引っ張り、琴葉の足を進めさせる。

既に入ってきた方角も分からない。だが、背後の足音が先程よりも小さい。撒けるか…。

そう判断しかけたが、正面に続く道が行き止まりになっているのを見て、右手曲がった瞬間足を止めざる終えなかった。

行き止まりだ。袋小路だったらしい。

舌打ちしそうになったが、来た道を振り返る。追っ手は1人。強行突破すれば何とかなる。

踏み出そうとしたとき、肩に触れた重みに視線を向けるなり目を見開く。

「琴葉!?」

顔色が悪い。いや、それを通り越して青白い顔をしている。

そのまま膝をついた琴葉を抱き止めた成夜だが、理解ができなかった。