…いい、機会かもしれねぇな。
足の向きを変え、店に入る。
だが、ショウウィンドウに並んだアクセサリーの数々はどれも宝石が輝く代物で、何となくこれじゃないと判断してすぐ店を出る。
琴音に似合うかもしれねぇが、着けているイメージが湧かなかった。
他に何かないかと見ていると、シルバーアクセサリーを扱う店を見つけ、そこに足を運ぶ。
先ほどの店に比べたら人は少ない。
店に並ぶネックレスを見ながら、時々琴音に視線を向ける。
以前は十字のネックレスだった。特にそれに意味はない。同じものをという気にはならなかった。
「…」
ふと目に入ったそれから目を離せなくなる。
…直感に頼るか。
目に入ったそれを手に取り、さっさと会計を済ませて店を出る。
近くのソファーに琴音を座らせ、買ったばかりのそれを袋から出して、琴音の首にかける。