季龍さんがあの様子じゃ、修学旅行なんて行くわけないよね?

去年学祭に参加しただけでも奇跡だって思ってるのに、わざわざこの地から離れる上に永塚の力の及びそうにない土地に季龍さんと私だけで行くなんて、そんなことあるわけない。

いくら修学旅行でも、季龍さんは永塚組の若頭。行けるはずがない。

…と、私の中では解決済みでも、これをどう説明すればいいんだろう?

行きません。なんて、堂々発言出来るわけもないし…。だからと言って私と季龍さんだけが理由もなく班に入れられないなんてこと出来ないだろう。

「…琴、私と同じ班じゃ、嫌だった?」

「っ!?ブンブンッ!」

シュンと落ち込んだ様子の華さんに慌てて首を横に振る。そんなわけない!華さんにはどれだけ頭を下げても感謝しきれないくらいなのに。

だからと言って、行けない修学旅行の班に加えてもらうのもなんだか忍びない…。