「お披露目もせずになにやってるんだよ」

「過去とバイバイしてきたの」

「なんだそれ」

差し出された手に自分の手を重ねる。

手を引かれるままに教会へ戻っていく。

始まった結婚式には、たくさんの友人が駆けつけてくれた。当然、その中に季龍さんの姿はない。

でも、それでいいと思う。

目を閉じれば、あの濃密な時間を思い出せる。

笑い合った時間も、苦しんだことも、気持ちに向き合えなかったことも、結局最後まで伝えられなかった言葉も。

好きな人のことも。

でも、目を開ければ、旦那さんが私を見て笑っている。

私が歩むと決めた道は、この人との未来だ。

夢物語はもう終わり。

これからは、歩むと決めた本物の未来へ進む。