「約束しただろ。待たせちまったが、もう大丈夫だ」

「…はい」

お父さんに会える。

ここに連れてこられてから、ずっと目標にしていた。生きるための理由にしてきた。

それが叶う。

嬉しいはずなのに、やっとお父さんに会えるのに、どうしてだろう。心は自然と落ち着いている。嬉しいのは本当。お父さんが心配なのも、本当だ。

…お父さんは何て言うかな。……ご主人様を好きになってしまった私を、認めてくれるのかな。

少し、いや大部不安になってきた。

「命に別状はねぇよ。だが、痩せてはいたな」

「え、会ったんですか?」

「信洋のスマホ越しに」

「そうなんですか…」

頭をくしゃくしゃに撫でられる。

「心配するな。親父さんは、お前のことを第一に考えていた」

「はい」

微笑んだ季龍さんに抱き寄せられる。

「もう寝ろ。明日も早い」

頷いて目を閉じる。フッと季龍さんが笑ったような気配がしたような気がした。