「ッチ」

「わわ!!?」

急に体が持ち上げられて思わずしがみつく。

至近距離にもう息をするのすら苦しいです…。

「離したと思ったら近づいて来るし、近づいたと思ったらんな顔して。どうしろってんだ」

「え、あ……」

「俺の好きにする」

頭を肩に押し付けられ、耳元にかかった吐息に今度こそ息が止まる。

「大人しくしてろ」

「…ッコク」

頷くので精一杯。

それでも伝わったのか、頭を撫でてくれる手はすごく優しかった。

抱っこされたまま季龍さんの部屋に入るなりベッドに放られる。続けざまにベッドに横になった季龍さんの腕の中に収めれた。

頭に手が回され、季龍さんの胸に額をつける。なにも話さなかったけど、その沈黙が心地よく感じられた。

「…明日、お前の親父さんに会いに行く」

「え?」

不意に告げられた言葉に耳を疑う。

季龍さんを見上げると、優しい目をしてくれていた。