「座るか」

縁側に腰掛けた季龍さんは、自分の隣をトントンと叩く。隣に腰掛けると、肩を引き寄せられる。

寒いはずなのに、全然寒くない。風が吹いて髪が揺れる。

…切ったとはいえ、伸びてきたかな?毛先をつまんでねじってみる。そういえば、結局髪色白いまんまだなぁ…。

「…染めるか?」

髪を梳かれる。顔を向けると、季龍さんの指から髪が離れていくところが見えた。

「元は黒かったろ。染めたいって思わないのか?」

「…いいです」

「遠慮しなくてもいい」

「いいえ。…これは、私が勝った証です」

一夜で真っ白になった髪。初めは変だって思ってたけど、今では誇れる。

私は、あのどん底から戻ってこれた。闇の世界で生き抜いた証だ。