「…ふぅ」

大広間から縁側に逃げ出してほっと息をつく。

宴会、というより…なんだろ。う~んと、そう混沌?カオス?

無礼講もいいところで、飲んだり食べたり…ほぼ飲んだくれ?あちこちで浴びるようにお酒がなくなって、あっちこっちでなんか倒れてた。

そんな会場がお酒臭いわけなくて、臭いだけで酔いそうになったところで外に逃げ出してきた。

…まるで、最期の晩餐みたい。

上下関係なく、表も裏も、関係なく。“永塚組”でいられる、最後を惜しんでいるかのように…。

一瞬中の喧騒が大きくなって振り返ると、目を丸くした季龍さんと視線が重なった。

「琴音?」

後ろ手に襖を閉めた季龍さんは、少し呆れたように広間の方を見つめる。

「騒ぎ過ぎなんだよ。ったく」

「主役、出てきちゃいましたね」

「気づいてねぇよ。というより、起きてる奴どんだけいんだ」

言葉は呆れ返ってるのに、表情は優しい。

…やっぱり、この人は人の上に立つ人だ。そんなこと、初めからわかっていたはずなのに、今改めて感じた。