あの日から、私の中では急に日常が帰ってきた。

屋敷のなかを掃除して、手が空いたら奏多さんや暁くんたちとおしゃべりをする。

そんな日常で変わったことと言えば、季龍さんがみんなと食事がとれないほど忙しいことと、この日常に源之助さんがいなくなってしまったことだ。

季龍さんは大体毎日出かけていき、酷いと深夜になっても戻ってこない。

そんな季龍さんとまともに話せるわけもなく、季龍さんのお母さんに会いに行ったあの時を最後にまともに顔も合わせていない。

そして、源之助さんはあの日を境に入院したまま。

田部さんが何回か面会に行ったけど、面会謝絶と言われ、門前払いばかりだ。

源之助さんは、永塚組とも、表の世界に行く人たちとも決別するつもりなのかもしれない…。

そんなことを考えながら、大鍋の中身をかき混ぜた。