車から降りて門をくぐる。その瞬間、正面から抱きつかれて背後に倒れそうになったのを何とかこらえた。

「ことねぇよかった」

「梨々香ちゃん…」

しがみついてくる梨々香ちゃんの頭を撫でる。…怖かったよね。突然お兄さんと私がいなくなっちゃったんだもん。

「ごめんね」

首を横に振る梨々香ちゃんだけど、よっぽど怖かったのか離れる様子はなくて、梨々香ちゃんを抱きしめた。

「おかえり琴音ちゃん」

「おかえりなさい」

かけられた声に顔を上げると、奏多さんと森末さんが屋敷の中から出てきてくれたみたい。笑顔を向けると、笑顔を返された。

「帰ってきたところごめんなんだけど、部屋に戻っててくれる?これから会議なんだ」


「会議、ですか?」

「うん。…これから、どうするかを話し合うためのね」

噂にはなっていた。でも、それはあくまで噂で、決まったことじゃない。

それが正式に決まるんだ。