駅までの道で渋滞にはまり、今日戻っても終電にすら間に合わず、中途半端な場所で止まってしまう。

ならばいっそこの場で泊まろうと駅の近くのビジネスホテルに宿をとることにした。

受付を済ませた季龍さんが差し出してきたカギをとっさに受け取る。

「明日1番早い新幹線に乗る」

「はい」

…ふと、季龍さんの手にもカギがあることに気付く。カギ、2つあるのかな…?

そんなことを思いながら先に進んでいった季龍さんの後ろを追いかける。エレベーターに乗り込み、到着した階でもらったカギを見る。

708室。…は、右側に進むみたい。

季龍さんが先に進み始めたのを見て後ろに続く。

…そういえば、誰にも何も言わずに丸1日行動してるけど、これは大丈夫なのかな?

あぁ、でも信洋さんクレジットカードの情報見れるんだっけ。季龍さんここの支払いもカードだったから、信洋さんはわかってるのかもしれないな。

そんなことを思っていると、708室のドアを通り過ぎそうになっていたことに気付く。

季龍さんを呼び止めようとしたけど、季龍さんは隣の部屋のドアの前で足を止めていた。