「琴音、手握ってみろ」

「…」

俺もできる限り琴音に時間を当てた。

奏多たちのようには出来ないが、簡単なものは出来る。

言葉をかけて繋いだ手を動かしてやる。琴音は俺に視線を向けるだけで動きはしない。

「琴音、声出してみろ」

「…」

「口動かせねぇのか?飯、食べなきゃまた痩せるぞ」

「…」

「琴音」

頭を撫でる。琴音の表情は変わらない。

ただ俺を見つめるその目は、なんの色も写してはくれなかった…。