1階は外来患者の受付のようだけど、人の姿はほとんどない。エレベーターホールへ向かうと、カードキーを当てた季龍さんが上へ向かうボタンを押した。
「めんどくせぇ」
「あはは…」
ぼそっと呟いた季龍さんに苦笑いする。確かにめんどくさいかもしれないけど、必要なことなんだろう。
到着したエレベーターが合図の音を鳴らす。
中に乗り込むと、階のボタンを押す前にもカードキーをかざさないといけないことに季龍さんはまた舌打ちをした。
5階まで上がり、扉が開く。エレベーターから降りると、左右にガラスの扉があり、奥にはリビングのような空間が見えた。
「蓮華とか言ってたな」
「こっちみたいですよ」
右側のドアに蓮華と書かれた札がかかってる。そっちのドアに近づくと、インターホンがあることに気が付く。
それを押して少し待つと、ドアの向こうから看護師さんがこちらに向かってきた。


