「クレジット情報で場所ばれるか…」
「え。…信洋さん、そんなことまでできるんですか」
「ネットワーク情報で、あいつが見抜けねぇのは国家機密情報くらいだ」
季龍さんの爆弾発言に愕然とする。
あんな飄々としてるから全然そんな感じしないけど、信洋さんってやっぱりすごい人なんだ…。
使ってしまったものは仕方ないと季龍さんは早々に諦めをつけて、病院を見上げる。正面入り口から中に入ると、すぐに受付の人に呼び止められた。
「受診を希望されている方ですか。それとも、お見舞いに来られた方でしょうか」
「508号室。そこに行きたい」
受付の人は一瞬目を見開くと、数秒の沈黙の後歯切れ悪くそうですかと返事をする。
何かの手続きをすると、受付の人は入館証と書かれたネームホルダー2つを差し出してきた。
「当病院のエレベーターはすべてカードキーがなければ動きません。お帰りの際にお返しください。508号室は、5階の蓮華病棟にございます」
徹底した管理体制に驚きながらそれを受け取る。
静かに頭を下げる受付の人を横目にエレベーターへ向かう季龍さんの背を早足で追いかけた。


