大きな駅に着くと、さすがに人の姿が多くなる。そんな人ごみを抜けながら歩き続け、新幹線の改札をくぐる。
出発までに微妙な時間がある。売店をぼんやり見つめていると、きゅ~と変な音がした。
…ん?今の音…。とか考えていると、また変な音がする。
…お腹、減ってた。そういえば、昨日の夜も食欲なくて、何も食べてなかったんだった…。
自覚した途端、急にお腹が減ってきて、顔が熱くなっていった。
「何食べる」
「ッ…い、いやこれは」
季龍さんを見上げれば、笑いをこらえているような顔をしていて、ますます顔が熱くなるのを感じた。
「どうせ長旅だ。もたねぇだろ」
その一言で弁当を選ぶのをやっと決断する。
私はミルクコーヒーとサンドイッチを、季龍さんは緑茶と幕の内弁当を選んで、新幹線に乗り込む。
…新幹線なんて、小学生の修学旅行以来だ。少しわくわくしながら、買ってもらったサンドイッチをくわえた。


