目を覚ます。

…もう、朝なんだ。…とは言っても、まだ薄暗くて全然朝、だなんて思えないけど。

身を起こす。…昨日、季龍さんが座っていたところに手を伸ばす。

…冷たい。



…何、考えてるんだろう。

そんなこと、望んだって、叶うわけないのに。自然と浮かんだ笑みはこぼれ出て、何かを一緒に落としていく。

「琴音」

意識が返る。襖に肩身を預ける季龍さんに視線を向ける。

…いつから、そこにいたんだろう。全然、気づけなかった。