「琴音、お前についてきてほしいところがある」

「…どこに行くんですか?」

「…明朝に出る。少しでも、休んでおけ」

まぶたを覆い隠すように手で覆われる。

まるで、これ以上何も聞くなと言わんばかりだ。

口を閉ざし、季龍さんの手に意識を向ける。

暖かい。こんなに暖かいのに、どうして冷たいなんて…。

「おやすみ。琴音」

意識が離れていく。まだ、寝たくないのに…。

「…………………」

だめ、声が…聴こえない。

薄れた意識は留まることなく、夢の中に落ちて行った。