ふと顔を上げると、さっきまでいたはずの子ねこの姿はない。

どこ行っちゃったのかな?探してみようと腰を上げかけたとき、肩を捕まれて振り返った。

「…季龍、さん」

「…何してんだ。こんな冷えるまで」

…今帰ってきたのかな。季龍さんは昼間の服のままで、その表情は少しだけ疲れているように見えた。

「寝れなかったので、少しぼーっとしてました」

「布団の中でやってろ」

一蹴されて、手を引かれて立ち上がる。そのまま部屋まで戻されると、敷いてあった布団に寝かされた。ご丁寧に布団までかけられたところでハッとして起き上がろうとしたけど、肩を押さえられて簡単に布団に戻された。

「起きるな」

「…寝れないです」

「目閉じてろ。そのうち寝るだろ」

「…嫌です」

呆れたような視線を向けられる。それでも、とても寝れるとは思えなかった。