肌を撫でる風は冷たい。それでも、どうしても動けなくて、膝を抱えて座っていた。

…あのあと、とんぼ返りしてきた警察と、あらかじめの通報で駆けつけてきた救急隊によって源之助さんと平沢さんは病院へ搬送された。

拳銃を所持していた平沢さんは流石に状況的もまずく、しばらく屋敷には戻ってこれないだろう。近いうちに警察の家宅捜索も入るかもねと言った信洋さんは少しだけ疲れた顔をしていた。

そんな状況からこっそりと永塚の屋敷に戻ってきたけど、季龍さんも信洋さんも慌てたように再び出ていったきり戻ってきていない。

もうすぐ日付が変わる。

今日は戻ってこないかもしれないと分かっているのに、部屋に戻る気持ちにはなれなかった。