「若、続きは帰ってからにしてくれるー?ここちゃんがかわいくてかわいくてしょうがないのはよぉーく分かったからさ」

「あ゛?」

信洋さんのからかった声に、季龍さんのドスの低い声が響く。

舌打ちと共に季龍さんは手を離したけど、何となく離れたくなくて手を握ると、一瞬驚くように目を向けれた。それでも、手は振り払われることはなくて、むしろ強く握り返してくれた。

「琴葉ちゃん」

おばあ様の声にハッとする。わ、私ッ…。

慌てて季龍さんの手を離そうとしたけど、しっかりと握られた手は離れることはなく、季龍さんから鋭い視線を向けられるだけだった。

「いいのよ、琴葉ちゃん。そのままで」

おばあ様の表情は今までに見たことがないほど柔らかくて、どことなく嬉しそうに見えた。