ギクリと、自分でも青ざめたのが分かる。

季龍さんの冷たい視線にその場から逃げ出すことも出来ないまま、近づいてくるのを待つようにその場に縫い付けられたように立っていた。

目の前に季龍さんが立つ。上げられた手に思わず目を閉じた。

でも、やって来たのは痛みじゃなくて、温かいぬくもりだった。

「…季龍、さん?」

「…」

言葉は何も帰ってこない。でも、季龍さんの鼓動の早さと、僅かな手の震えにやってしまったことに気付く。

…あぁ、私はまた季龍さんを傷付けたんだ。

「ごめんなさい。…ごめんなさい」

「分かってるなら、やるんじゃねぇ」

弱々しい声。こんなの、季龍さんらしくない。

そうさせてしまった自分に益々嫌気がして、罪悪感が重石のように心を埋めていった。