「今更とぼけてもねぇ。あんたなら、よーく知ってるでしょ?」

間髪入れずに核心に迫る信洋さんは、間の抜けた話し方をしているものの、その目付きは獲物を狙う野獣そのものだ。

季龍さんの腕の力が強まる。その腕に守られる安心感に負けそうになったけど、視線を向け続けた。

「これは、御宅の機密情報やらなんやらが詰められた、あんたにしてみりゃ、パンドラの箱…。その入り口」

「何の話だ!!わしは…」

「前々から、陣之内家には黒い噂があった。そこにいる宮内琴葉ちゃんも、その被害者の1人」

「何を根拠に…」

「その証拠でさえ、ここにある。そうでしょう?」

陣之内総一郎の話を全て無視した信洋さんの、断言するような声に陣之内総一郎は押し黙る。