「奏太、まさか、今日が婚約会見なのか!?」

奏多さんも同じことを思ったのか、すぐに声を上げる。一瞬きょとんとした顔をした奏太さんは、悪気もなくそうだけどなんて言う始末だ。

…今日、だったんだ。

そんな大事な連絡さえしてくれなかったことに、愕然とする。

私は、ただの道具なのかもしれない。そんな考えが過って、少しだけ笑えてきた。

「何時から?場所は?」

「平沢さんが乗っけて行ってくれる。兄貴と暁さんでお姫様をボディガードだってさ」

「他には?」

「何にも。俺も昨日の夜、お姫様の身支度整えて来いって言われただけだから」

奏太さんは、困ったような顔をして、それ以上の質問を拒んだ。