「お姫様、普段から化粧したら?絶対かわいいよ。男なんか簡単に落とせる」

「奏太!!」

「あー、でもこんだけボディガードいたんじゃ、彼氏も作れないか。お気の毒だね、お姫様」

奏太さんは軽口を叩きながらも手を動かしてる。

自分のことを言われてるのに、全然会話に入れる気がしない。それほど、テンポのいい兄弟の会話が少しだけ羨ましかった。

「…よーし、お姫様もういいよ」

そっと目を開けると、目の前に奏太さんの顔があって思わず顔が熱くなる。

ふっと微笑んだ奏太さんは、頭を撫でてから離れていった。

「これで会場中の男はお姫様の虜だ」

「さっきからお世辞ばっかりだね」

「はぁ?お世辞じゃなくて事実だし!俺が可愛くしたんだから、間違いないだろ?」

なぜか自信満々の奏太さんにまた笑ってしまう。

って、あれ会場中…?会場って、なんの会場……?