「はーいお姫様目ぇ閉じてね」

「奏太、間違っても琴音ちゃんに…」

「っあー!!兄貴うるせぇよ!さっきから気が散るっての!!」

奏多さんと奏太さんのやり取りに思わず笑ってしまうと、奏太さんにきつく睨まれてしまう。

慌てて言われた通りに目を閉じると、頬に手を添えられた。

永塚の屋敷を離れてから、季龍さんはもちろん、源之助さんからも何の連絡も入らなかった。

でも、今朝突然大量の荷物と共に現れた奏太さんに捕まってからずっとこうして化粧をされてる。その間、奏多さんが監督のように見張っていて、奏太さんの集中力を奪い続けている。