暁くんを追い、階段を上がっていく。

互いに言葉を交わさないまま、元の部屋に戻ってくる。そこで待っていた正裕は、暁くんが持つUSBを見たものの、それについて言及してくることはなかった。

そして、タイミングを計っていたかのように現れた使用人が、源之助さんの帰りを告げる。

その言葉を受け、初めに動いたのはやっぱり暁くんで、その背を咄嗟に掴みかけた自分の手を抑える。

何を言うの?何が言えるの?

…自分で決めた言葉など、話せない私が言えることなんか何もないのに。

「…ごめんなさい」

伝えてはいけない。伝えられるわけない。

これは、私への罰だ。