「だからことねぇ、自分を責めないで。戦って!ことねぇを大事にしたい人、みんなことねぇが傷つくのなんて望んでないもん!」

「…梨々香ちゃん」

…分かってる。分かってるはずなのに、誰かにかけられる言葉のはずなのに、どうしても拒もうとする自分がいる。

そんなの、変だって分かってるのにな…。

「ことねぇ、お兄ちゃんのために戦って」

「季龍さんの、ため?」

「うん!だって、ことねぇのことお兄ちゃんは大切で、大好きなんだもん!大好きな人が倒れたら、悲しいでしょ?」

「…ッ」

頬が真っ赤になるのが分かる。

そ、それは認めるの困るなぁ…。でも、認めないのもなんか寂しいというか……。って、寂しいって何!?

「ことねぇ顔真っ赤~かわいい」

「ッ…意地悪しないでよ」

「えへへ~」

下心溢れる笑みに苦笑いするしかない。

…でも、元気付けようとしてくれてるんだよね?そっと梨々香ちゃんの頭を撫でると、正面から抱きついてくる。

そんな梨々香ちゃんを離す気にはなれなくて、抱き締め続けた。