「…」

あ、れ…?見えたのは見慣れた天井。

…私あのまま寝ちゃったんだ。

「琴音ちゃん、大丈夫?」

「ことねぇ!」

目が覚めたことに気付かれて、向けられた視線は4人分。

奏多さん、暁くん、梨々香ちゃん、そして…。

「気づきましたか」

あの時より、シワの増えた田部さん…。

「ことねぇ!まだ寝てた方がいいよ」

「ありがとう、梨々香ちゃん。…でも、今聞きたいことがあるんだ」

起き上がろうとしたところで梨々香ちゃんに止められるけど、笑いかけると肩を貸してくれた。

その厚意に甘えて身を起こして田部さんに視線を向ける。

聞かれることを分かっているように、田部さんの表情は落ち着いたものだった。