「僕がそうさせたんだな」

「…」

「…恨んでもいい。憎んでいてくれていて構わない。……でも、琴葉、今すぐここから消えてくれ」

「え…」

「僕のためじゃない。琴葉、キミのために。会うべきじゃない。会ったら、キミは…」

「なんの騒ぎだ?」

正裕様の声がそこで止まる。

集まっていた人集りが徐々に道を開けるように二手に割れていく。

そのできた道を当然のように歩くのは、白髪の老人…。

『琴葉ちゃん!!』

頭の奥で声が響く。次の瞬間、頭のなかに記憶が弾けた。

―――――

『えっとぉ…わぁっ!ここちゃんここにするー!』

…そうだ、あの時私はおばあ様とかくれんぼをしていて。

たまたま開いていたドアに入って、机の下に隠れて…。

『クスクスッ』

『手間をとられたな』

『えぇ。ですが、これでもう安泰でしょう』