【佑唯side】

『自分で自分自身を否定して…、それは佑唯くんの何になるの…？あれから佑唯くんは何も変わってないのかな…？』

花火大会の時に千春から吐かれた言葉がずっとあの後、頭から離れなかった。

俺の何になるかなんて当然何にもならないことは分かっていた。

けど、分かっていても自分を責められずにはいられない。

千春のことはとっくのとおに好きだった。

けど、彼女が冬本と関わりを持っていてしかも冬本の行動から千春に恋していることが読み取れた途端また誰かを傷つける前に手を引かないといけないと思った。

けど、千春に告白された瞬間すべてどうでもいいって投げ出したくなった俺は無理やり自分の過去をえぐり出すように彼女に聞かせ嫌いになってもらおうとしたのに彼女は逆に俺を慰めるかのように俺を抱きしめた。

だから逃げ出してしまった…。

苦しいが、これが正しい。

そう自分に言い聞かせた時…。

ーブーン…ブーン…。

スマホがテーブルの上で振動し始めた。

画面にはまさかの"坂口 千春"の文字。
しばらく迷ったが俺は決心して電話に出た。