過去を話す佑唯くんは私の足の手当が終わると私の隣のベンチへと腰掛けた。

過去を語る顔がどこか苦しそうだったけど佑唯くんは語ることをやめなかった。
「それからは自暴自棄で、自分の他にも苦しむやつの顔が見たくて中学を卒業するまでの数ヶ月間、他人の彼女に手を出すようになった。

けど、そんな自分の行為をその頃は悪いとなんか思えなかった所詮、恋だの好きだの言ったってそれはただのまやかしにしかすぎない、どうせすぐ違う異性に目がいって恋なんてものは終わる、

だからこんな俺になんか騙されるんだって…

どこか他人を嘲笑ってたんだよ…。

けど、ある日1人の女子に言われた

『貴方は弱い人間だね。』

ってその言葉にイラついたけど何故かその分、頭から離れなくて多分、本気で好きになってた…けど、その女子が冬本の彼女だったんだよ…。

結局好きな人には嫌われたし当然、彼女をたぶらかした俺を冬本も目の敵にしている。

だから思ったんだ…俺が誰かを好きになったって結局誰かを傷つけるんだって…

だから、千春…俺は千春と付き合えないよ。」

そこで佑唯くんの話は終わった。

本当は振られて泣きたいところだけどそんなことよりも佑唯くんの方が深刻だと思った。

それに続けて聞いてるこっちでも辛い話を佑唯くんは嘲るかのようにこういった。

「ほら、弁解にもならなかっただろ?俺は冬本に嫌われて当然のことをしたんだから。」

本当は悲しいはずの話を辛かった話を嘲て自分を蔑んでそんなふうにしてまで涙を見せないのは何で…。

私はジッとしてられなくて彼のことを抱きしめた。