｢まっ、待って！佑唯くんっ！｣

それからは無我夢中だった。

佑唯くんをじっと見つめていた私に佑唯くんも気づくとその瞬間私から逃げるようにスルスルと人混みの中をすり抜け姿を消していった。

私もそんな佑唯くんのあとを追うように先輩の引き止める声を背中に人混みの中を走り回った。

何度も走りにくい下駄のせいでこけそうになりながらもそれでも佑唯くんの姿を見失わないように彼のあとを追った。

気づけばいつの間にか私は、大会場の近くの公園まで走っていてでも追っていた彼の姿はいつの間にか無くなっていた。

彼を無我夢中で追っているうちに迷子になったのだ。

それに気づかないうちに下駄の鼻緒で指の間が擦れ皮が剥けていた…。

それでも佑唯くんを探さなきゃと足を引きづった時ー。

｢お前は、どうしてそうやって無茶ばっかすんだよ…。｣

公園の物陰から佑唯くんは姿を現すと私の方へとそう言って向かってきた…。