人を好きになることは、

「どんな感じ?」

佑唯くんに教えてもらってから数時間、いつの間にか目の前のワークは自分の数式で真っ黒に染まっていて数学の課題範囲は残り今やっているページに迫っていた。

「このページで最後なんだけど…」

けど、佑唯くんが何でこのタイミングで声をかけてきたのか分かっていた自分は課題を終わらせたい気持ちを我慢しながらワークを閉じようとした時…

「んじゃ、電車来るまであと20分あるし猛スピードで教えるからな、ほらペン持て」

「えっ、でも移動時間…」

「そんなん、走れば間に合うだろ?」

でっ、結局佑唯くんに説得させられた私は佑唯くんの猛指導の中、今までのなかで1番の集中力を発揮させワークを終わらせた。
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「もっと速く走れ千春!」

「いや、これ以上、速くは…」

電車が来るまで残り5分までの間、図書館から駅までの道を佑唯くんに手を引かれながらダッシュする。

そのまま、改札を抜けホームに来ている閉まりかけの電車に乗り込めば朝とは違い空いている席に2人並んで腰掛けた。

「さすがにきついな…」

「間に合ってよかったぁ…」

2人で安堵しながら顔を見合わせれば自然に漏れ出す笑顔。

ハラハラしたけど何だか楽しくてたまらなかった。