｢佑唯くんが…｢佑唯くん？！！｣

女子先輩達の事件はもう遠の昔のことに思えるぐらい平穏な昼休み。

向かいに座る穂花に佑唯くんの話をしようと名前を口にした途端、穂花は私の話に被せ驚きの声を漏らした。

｢おっ落ち着いて穂花…｣

そのあまりにも大きな声にクラス中の人達の視線が集まり気まずさを感じる中、穂花をなだめる私に穂花も我に返ったのか口を片手で抑えるとコショコショ…と私に話し出す。

｢いつの間に下の名前で呼び合うようになったの？！｣

｢あっえっと、私は今日が初めてなんだけど…佑唯くんの方は梅雨のはじめぐらいにもう"千春"って…｣

｢千春〜？！！｣

私の返事を聞くなり先程までコショコショ話が嘘みたいにまた大声を出す穂花に集まる教室内の視線が流石にいたたまれなくなった私はすぐさま穂花を連れて廊下に出ると窓際で2人並ぶ。

｢思うに絶対、千条くんは千春のことが好きだよ！！｣

まるで、廊下に出たことにより何かが吹っ切れたのかいつも通りはしゃぎ始める穂花に私もいつも通り

｢ええっ？！｣

と驚きの声を漏らした。