【千条 佑唯side】

「ひゃっ…千条くん…!!」

半歩後ろを歩いていた千春の声に気づいた時には遅かった…。

「千春っ!」

名前を読んだ時にはもう、千春の姿はなく洋服店のセールめがけて迫ってきた軍団に飲み込まれてどこかに行ってしまった。

考えれば分かることで洋服店内にいるだろうと少し人の多さに気がひけるも何とか中に入り探してみるも何故か姿は見当たらず、俺は店内から出ると無意識にズボンのポケットの中のスマホを取り出した。

がっ、そう言えば千春の連絡先持ってねーわ。

すぐにスマホをしまい千春を探し回ることにした。

「チッ…、」

最近、千春はやけに暗かった…。

どこかボーとしている事が多かったし、今朝なんてほとんど顔に明るさなんか無かった。

それで気晴らしになればと連れ出してみたのに結果がこれって…

最悪だな…俺…。

そこでしばらく探し歩いた時、近くに雑貨屋を見つけそこの猫の模様のクッションを前に目を輝かせている女子高生を見つけすぐに千春だと分かった…

俺は千春が見つかったことに大きく胸をなでおろした。