「やっぱり、千春その千条って人に恋してるんでしょ!」

「そっそう思う?」

「思う!思う!!」

「そうなのかな…」

学校のお昼に穂花と2人でお弁当を食べながら千条くんについて話しているとまた穂花に恋だと言われた私は、悩んでいた…。

私の…千条くんに対する想いが恋?

このドキドキする気持ちもワクワクする気持ちも、千条くんばかり考えてしまう気持ちも恋って言ったら確かに全てが綺麗に片付く…やっぱり恋なのかな?

でも恋なんてするの初めてだからよくわかんないよ…

そう一人で悶々していると穂花が何かを試すように口を開いた。

「じゃあさ、千条くんがほかの女の人と手を繋いで歩いていたらどう思う?」

千条くんが他の女の人と…

ズキ…。

そんなの想像するだけでも胸が苦しい…、

その時ー。

『きゃあああぁ!!!』

クラス中の女子達の奇声が辺りに響きわたった。

何事かと思えばそこには、図書委員の先輩で女子に大人気の冬本先輩=冬本 蓮(フユモトレン)先輩がいた。

「ねぇ、ねぇ!ちょっとあれ冬本先輩じゃん!かっこいい!!」

目の前のかっこいい男好きの穂花もほかの女子と同じように奇声をあげるほど確かに彼は、美形だ。

そんな彼は教室の戸の前で立ち止まると私と目が合うなり

「千春ちゃん!」

と手で私を招くポーズをした。

やっぱり、図書委員でなにか報告があったんだ…、

けど教室に来るなんて…。

穂花はまるで面白いものを見るような目でキラキラしてるけどその他の女子達の目はどう見ても『何よあの子』というとても怖い目をしていた。

ただの図書委員会の先輩なのに。

偶然入った委員会に冬本先輩がいて、偶然同じ日に当番になっただけでその他はなんの関わりはない。

それなのに…私に注がれる女子達の目が痛かった。