「あれ、坂口だったんだな。」

「はい、あの時はお礼も言えなくて…!

本当に助かりましたありがとうござい

ました」

覚えててくれた!!嬉しい!!

しかも、教える前よりかは少し千条くんと親しくなったような感じがして嬉しくてたまらなかった。

「あの後、大丈夫だった?足…」

「千条くんが助けてくれたおかげか、あ

まり傷が深くなくてすぐ治りました。」

実際治るまでに時間はかかったけど痛みはすぐに消えていったことは事実だった。

少し打ち解けた雰囲気に私の顔にも自然と笑がこぼれる。

「…それで、2回も助けてくれたお礼と

いうか…、今度、一緒にお出かけしませ

んか…!」
内気の私からの精一杯の誘いだった。

その誘いに彼は、一瞬、驚きの表情を見せるもすぐにフッと笑みを浮かべ
「何奢ってくれんの?」
と、冗談めかしく返してくれた。

そっそれって誘いにOKしてくれたの?!

勝手にそう解釈することにして私は、嬉しさで彼に乗り出すように、

「なっ何でも!」

と口に出すと彼はまた、面白そうに笑った。

「冗談だよ。今週の日曜なら空いてるけ

ど坂口は?」

今週の日曜日…。

彼に尋ねられてすぐにスケジュール帳をカバンから取り出すも土曜と月曜は予定がみっちりなのに対し日曜は偶然にも予定はなかった。

「空いてます。」

「じゃあ、日曜の午後1時にこの駅待ち

合わせで良い?」

「はい!」

本当は、この前穂花と行った駅前で遊ぶつもりだったから現地集合でもよかったけど彼の最寄り駅集合という案に賛成した。

一緒に駅前に向かうことを考えると賛成せずにはいられないぐらい楽しみだったから。